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日本が日本であるために

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マネタリズム・リフレ及びケインジアンの経済思想 

 経済は、おおよそ「政府の領域を広げていきたい」とするか、「民の領域を広げていきたい」とするかの『思想』に基づいて語られています。

 そういった『経済思想』を最も簡単に窺う事ができるのは、長期的な『政府の適正規模』です。
 これは、「政府の恒常的な予算が、国家経済の中でどれくらいを占めているのが適切か」という話題であり、大きくあるべきだとする者はその思想に沿った理論を、小さくするべきだとする者もその思想に沿った理論を打ち立てるわけです。

 これを「とっても大きくあるべきだ」と考えると社会主義になります。
 逆に、「とっても小さくあるべきだ」と考えると米国のティーパーティーみたいになります。

 そして、この話題における経済思想の対立は、ほとんど宗教戦争の様を呈し、民族主義に勝るとも劣らないイデオロギー的な熱風を放ったりもするわけです。


 また、経済の思想対立は、「GDPにおける政府支出の割合」などで、比較的容易に全体像を掴む事ができる所と、そうでない所があります。
 なぜなら、政府の「大きい、小さい」とは、『予算の規模』だけではなく、『政府の権限』という観点も無視できないからです。

 例えば、『規制』がそれです。政府に権限を与えたくないとする思想の持ち主は「政府が経済にかける規制はより小さい方がいい」という理屈やモデルを作るし、政府に権限を与えるべきだとする思想の持ち主は「政府がより強く経済に規制をかけるべき」という理屈やモデルを作ります。

 あるいは、外国との貿易もそうでしょう。(これは別の記事で、もっと論じたいと思います)


 そして、「短期的な景気動向に対応する、政府の権限の大きさ」も、その一つですね。
 つまり、インフレやデフレという短期的な景気の動向に対して、政府がどれほど経済へ介入する『権限』を持っているべきか……という思想の対立の事です。
 今日はこの対立を、マネタリズム、リフレ、ケインジアンという風に分類して掘り下げてみたいと思います。



『マネタリズム』

 まず、景気循環に対して、「政府にほとんど権限を与えたくない」と考えるのが、いわゆるシカゴ学派ーーマネタリズムです。マネタリズムは、デフレやインフレに応じて「財政を出動したり、縮小したり」という話に否定的なのは勿論、「通貨発行の裁量も『行政府』には与えたくない」とする思想です。
 じゃあ何によって通貨を管理するべきだとしているのかと言えば、「彼らの編み出した理屈に従って、中央銀行が通貨供給量(マネーサプライ)を一定量づつ増やしていくように、通貨を発行していくべき」としているわけです。
 そして、「それならば長期的に『民間市場』は均衡していくはずだ」と考えるわけですから、経済における『民の領域』に対する絶対的な心棒があるのですね。

 また、マネタリスト的な人が『財金の分離』を唱えるのは、「政府がお金を刷って、政府が使う」ということが我慢ならないからに他なりません。つまり、中央銀行を、ほとんど行政府から分離、独立させた形にすれば、「政府のズルを制限できる」と、彼らは考えたのです。

 つまり、マネタリズムは、『政府の権限』をガッチガチに制限して、『市場、民の領域』に経済のおおよそ全てを任せ、「政府から自由」にさせたいとする『思想』なわけです。



『リフレ派』

 次に、リフレ派ですが、一般的にリフレとは「インフレの時は金融を引き締め、デフレの時にはお金を沢山刷る」という風に、中央銀行が金融をもって景気に対応していくべきだとする態度です。
 もっと分かりやすく言い換えると、
「インフレの時は『銀行』が貸し出せる金を制限し、デフレの時は『銀行』が貸し出せる金を多くするべきだ」
 とする姿勢の事です。

 リフレの理屈を見ると、中央銀行(政府の一機関)が景気に関与するのだから、マネタリズムよりは政府の権限を重視し、民間市場を疑う姿勢がある……かのように見えます。
 しかし、実の所、リフレという態度は、マネタリズムの文脈を前提に派生したものと考えるのが適切なのです。

 そもそも、マネタリズムの理屈の中に含まれる難問は、「『通貨供給量』を一定づつ増やしていく」という所にあります。
 通貨発行額を一定に……ではないんですよ? 『通貨供給量』ですから、「政府と(銀行などの)金融機関を除いた市場に出回っているお金の量」です。
 そうなると、「通貨供給量を一定づつ増やす」というマネタリズムの姿勢においても、「デフレ状態の時は、貨幣の発行を増やしていく」という姿勢が内包されている事になります。
 つまり、リフレにおける「デフレ状態の時、日銀は円を刷りまくれ」という態度は、マネタリズムと背反していないのです。

 その証拠に、
「銀行が貸し出せる円の量さえ適切であれば、民間市場は均衡していくはずだ」
 という指向は、これと同一のものでしょう?

 さらに、ここで一つ指摘したいのは、今の世には、

1、『マネタリストではあるが、リフレ派と呼ばれるのを嫌う者』
 と
2、『リフレ派だし、マネタリストである事を誇る者』
 と
3、『リフレ派であるが、マネタリストと呼ばれるのを嫌う者』

 がいることを、知っていなければならないということです。

 1、『マネタリストではあるが、リフレ派と呼ばれるのを嫌う者』は概ね、財金分離を強く唱える者で、そもそも「民間市場は現状も正常に回っている」と主張する者です。この種類の人は、「現状はデフレではない」とするか「デフレは問題ではない」とするかの、どちらかになります。

 2、『リフレ派だし、マネタリストである事を誇る者』はいわゆるゴリゴリな新自由主義者に多く、リフレの理屈を「政府から権限を剥奪する根拠」にしていたりします。

 そして、昨今問題になっている、3、『リフレ派であるが、マネタリストと呼ばれるのを嫌う者』ですが、彼らは経済における日銀の責任を異様に重く設定し、現状のデフレを「民間市場の失敗」であることを認めないが故に、「日銀の売国的失策」であると唱えたりします。つまり、「日銀の円を刷る量が適切であれば、民間市場は失敗するはずがないので、そもそもデフレにはならなかったはずだ」という筋があるわけです。
 彼らが「自分たちはマネタリストではない」と主張するのは、「日銀を悪の親玉とするが故に『財金分離』に固執していない」という所に集約されていると思います。ですので、3、は2、に対して、相性が良いですね。逆に、3、の最大の敵は1、ということになります。
 また、もし彼らが何とか財政出動を肯定しようとすると、必然的に「(長期的には金融緩和だけで市場は均衡するはずだが、)金融緩和だけだと『時間がかかる』ので、財政出動で時間的な短縮をはかる事の意義は否定しない」といった筋になるわけです。あちらこちらで聞き覚えのある理屈でしょ?


 ただ、これら三種類の者達は、『民間市場』へ過大なる信用置き、「通貨の量さえ適切であれば、市場は均衡する」と考えているという点で、マネタリズムの文脈の上に成り立っているシロモノと考えて差し支えないのだと俺は考えます。




『ケインジアン』

 ケインズ的な人、或いはケインジアンは、景気に対して、政府が権限を振るう事に肯定的です。

 つまり、
A「政府が財政を出動して、需要を生む」
B「企業が発注を受ける」
C「発注を受けた企業が、別の発注をしたり、人を高く雇ったり、利益にしたりする」
D「その流れで需要が広がっていく」

 というような循環を起こすために、

a「政府が財政を出動するために国債を刷る」
b「刷った国債を一般の銀行が買う」
c「銀行が持つ国債を、日銀が買う」
(つまり、実の所、政府が刷ったお金を、政府が使うという事)

 といった手法を取る『権限』を『政府』が持っていて良い……というより、それは「政府の役割である」とするのがケインジアンの文脈でしょう。

 さらに言えば、ケインジアン……というよりは、ケインズ的な立場から、「こういった手法を取る権限を政府に与える事に肯定する思想的根拠は何か」と見ると、それは「市場に対する懐疑」によるものであると言えます。

 つまり、ケインズ的な者は、

「デフレとは、市場の失敗である」

 ということを認めているのです。

 市場への懐疑の有無、ここが、現在の経済思想を見るのに、最も重要かつ明瞭な判断材料なのだと、考えます。


             ・


 個人的見解を述べれば、「市場が失敗しうる」という前提に立つことは、「民主主義が失敗しうる」ことを認めることとほとんど同義ですので、この醜き『大衆民主主義社会』の中では中々ケインズ的な発想が受け入れられないんじゃあなかろうか……と、見ています。

 しかし、これは以前申し上げた事ですが、俺はこう思うのです。

「今必要なのは多数決(市場)ではなく、血とコンクリートである」

 ーーと。



 明日は、昨日と今日論じた事を踏まえて、「経済は政治から逃れられない」という事を主張したいと思います。



(了)



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