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日本が日本であるために

時事、ニュース、政治、経済、国家論について書きます。「日本が日本である」ということを政治、経済の最上位目的と前提します。

 

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成金の請求と、小市民の請求 

 俺は、いわゆる新自由主義的な経済の態度が大嫌いです。

 しかし同時に俺は、単なる「個々人の為の請求による反・新自由主義」も大嫌いなのです。
 つまり、個人個人の多くが、「自分の所にも今より多い益が回って来るように請求する態度」のことです。

 こういった態度を見るにつけても、新自由主義を見る以上に虫唾の走る思いがします。
 何故なら、「強者が、弱者を足手纏いとして扱う」のと「弱者が、強者の取り分を請求する」のとでは、ほとんど同じように醜いからです。
 肥えた豚の油汁と、アスファルトの熱に干からびたミミズと、どちらが醜いかと問われれば、五十歩百歩と答える以外にないでしょう?
 とどのつまりそれは、「成金の請求」か、「小市民の請求」かの違いであって、そんな議論に取り込まれてはならない、と言いたいのです。



とは言え、これは新自由主義への批判の文脈ですから、とりあえず新自由主義が嫌いだ……という方はランキングにご協力ください。
お忘れにならぬよう、押してからお読みいただければありがたいです。







 さて、情緒的に罵るだけではなく、「個人個人が、自分の所にも今より多い益が回って来るように請求する態度による反・新自由主義」の何がマズいかを論じていきましょう。

 一言で言ってしまえば、それは「新自由主義」というものを批判し切れていないが故に同じ穴のムジナとなってしまうからです。
 だって、それは何しろ「単なる個人個人の請求」或いは「その請求に迎合した論」なのですから。

 これは例えば、単に「個人と個人の所得格差を狭める」とか「個人がクビにされない安定性を求める」とかという、かなり具体的な請求へのみ、局所的に焦点が当たってしまうという弊害が起こるわけです。


 誤解して欲しくないのですが、俺は「所得格差を狭める」ことや「クビにされない安定性」は、社会的に重要なことであると考えています。
 しかし、そこへ至る道筋、新自由主義への批判としてもっとも重大な観点が抜け落ちていては、単なる「自分にとって都合の良い請求」の域を出ません。




 その重大な観点とは、
「人間関係のシガラミ、偏見、既得権益」
 による『不自由』が、経済活動を時間的に実体あるものにせしめている、という観点です。

 つまり、新自由主義の大問題は、「人間関係のシガラミ、偏見、既得権益」を『排除』したり『破壊』して、個々人の自由の経済活動に結果を委ねることが、個性を尊重した進歩的な世界である……などといった小便臭いSF物語を前提としている点なのです。

 こういった態度を含めた『新自由主義』への批判を持つのであれば、本当に重要なのは「不自由を保守すること」であると考える事ができます。
 つまり、「不自由を破壊し、個人を解放する事」を善しとする新自由主義のアンチテーゼとして、「不自由を保守し、『個人』を社会的に束縛された状態に留める事」を重要視する態度。こういった『反・新自由主義』でなくてはならない、という事です。

 そして、その「個人を社会的に束縛する不自由」というのが、家族、会社、産業、学校、地域、国家……に至るまでの組織における、「人間関係のシガラミ、偏見、既得権益」であります。

 さらに、そういった不自由を敷く事のできるのは、『個人の思考』なんぞではなく、「家族、会社、産業、学校、地域、国家といった組織における、『共通感覚』(=常識)」以外にはありえません。
 また、『共通感覚』というのは、人間の個々人が自由にバラバラに存在していては成り立ちませんね。家族、会社、産業、学校、地域、国家といった組織があって、はじめて『共通感覚』のようなものが存在しえるわけですから。

 つまり、『組織』は『共通感覚』なしで存在しえないし、『共通感覚』は『組織』なしには存在しえないということになります。
 その相互依存関係を成り立たせているのは、「時間の中で『組織』と『共通感覚』が、ある程度『硬直的』である」という大前提があってのこそなわけでしょう。

 そういった『硬直性』を担保するのが『政治』であって、もっとも強くそれを成せるのが、『中央政府』なわけです。


 よって、
「個々人が様々な社会的不自由に拘束され続ける状態を、『中央政府』が直接的、間接的に強制し、維持する……」
 この重要性を指摘する意味での『新自由主義への批判』こそが重要だーーと、こう言いたいのです。




 対して、こうした事を抜きにして、単に「自分にとって都合の良い請求」を、「弱い人が可哀相だから」とか、思ってもない綺麗事を小鳥のようにピーチクパーチク囀る小市民が大量に発生すると、非常に単純化、画一化された新自由主義批判になりかねません。

 その画一化は、単に「個人と個人の所得格差を狭める」とか「個人がクビにされない安定性を求める」とかという事のみを、声高に、怒りを込めて政府へ請求する方向の画一化であります。
 そうした、怒りの請求の姿勢の中で、「人間関係のシガラミ、偏見、既得権益」による『不自由』の重要性など充分に顧みられるはずもありません。

 というより、「一方で平等を唱えつつ、自由の方には大した批判を加えない」といった、甚だ都合の良い大衆根性で満ち溢れるに決まっている……というか、半ばそうなっているようにも思われます。

 だって、新自由主義への批判は、特にネット上ではよく見られはするけれど、「中央行政体制の強化」とか「議員定数の増加」とか「産業構造の維持」とか「将来的な、さらなる増税」とか、何となく多くの人にとって受け入れられないような『不自由』については置き去りにされるわけでしょう。
 ですから、多くの新自由主義に対する批判は、「自分にはお鉢が回ってこない範囲についての不自由は設定されるべきだ」という風に言っているようにしか聞こえないわけです。



(了)



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コメント

苦悩

こんばんは^^

本日のエントリーにあがった新自由主義。
私が今もがき苦しんでいることに少し関係しているかと思い、心の内を吐露したいと思います。
後藤様のブログの過去のエントリーをまだ少ししか読めていないため、的外れが多々あるかと思いますが、お許しください。

私は所謂B層といった種類で、政治には無関心な層でした。
しかし尖閣問題で、政治に関心を持ち、衆議院選挙時には自民党が大勝し、安倍政権が誕生したときは歓喜しました。

しかし日米首脳会談時の安倍総理の言葉から「TPPに前のめりなのではないか?」と危惧を持ち始めました。
TPPに関しましては中野剛志氏の著作を読み、「日本の国柄が破壊される」という認識を今も持ち続けています。
TPPだけでなく、○○特区なども新自由主義的な政策に感じられ(私の認識が誤りであるかもしれません)、ならば、そのような安倍政権に対し、不安を感じる自分はどうすればいいのか?批判の声をあげるべきなのか?黙って流れに身を任せるべきなのか?
保守とは?民主主義とは?
このようなことで苦悩し、

「この苦悩は自分の無知からくるものだ」と感じたため
後藤様のブログに辿り着き、また本を手にとって何かしらの答えを得ようと乱読している次第です。

後藤様の全エントリーを読む前に、自分をさらけ出すのは怠慢な行為なのかもしれませんが、恥を忍んでありのままの自分を書きました(笑

後藤様のブログを読破出来た後はまた違った景色が見えるのかもしれません。

大切にじっくりと味わいながら読み進めてまいりたいと思います^^


りょうすけ@政治初心者 #X.Av9vec | URL | 2013/11/08 02:31 [edit]

Re: 苦悩

りょうすけ様、こんばんは!


 いつも、建設的なコメントをありがとうございます。

 りょうすけ様が「もがき苦しんでいる」お気持ちはかなりよく分かります。
 また、尖閣、安倍政権誕生、TPP、という中でのお気持ちの流れも、非常に生々しく思われます。おそらく、そのようにお感じになられた方というのは、結構の数いらっしゃるのではないか、と思っています。

 りょうすけ様が、そういった問題意識をお持ちで、さらにその「問題意識への姿勢を、どう取れば良いのか」という所までを模索し、葛藤している事はよく伺えますので、そうした観点を含めた記事を増やしていけたらな……と思っております。

 勿論、我々は神ではなく人間ですので、どんなに知識を積み重ね、思考を繰り返しても、「明瞭な解答」など捉えきることはできません。
 ただ、明瞭な解答にたどり着く事が出来ないのを知りつつも、明瞭な解答へ向かっていく意志だけは、持ち続けていなければならないのだと思います。

 りょうすけ様におかれましては、そういった意志をお持ちであると存知ますので、一緒に学び、考えていけたら嬉しいなあ……と、考えている次第でございます。

後藤真(おーじ) #- | URL | 2013/11/09 00:01 [edit]

No title

温かくそして示唆に富むお言葉、ありがとうございます(TT)

後藤様と「一緒に学び考える」レベルでない自分であることが残念ですが、逆にいえば、「それだけ未知の世界に出会える機会がたくさんある」と前向きに捉えておきたいと思います(笑

本当にありがとうございます!

りょうすけ@政治初心者 #X.Av9vec | URL | 2013/11/09 05:37 [edit]

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