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日本が日本であるために

時事、ニュース、政治、経済、国家論について書きます。「日本が日本である」ということを政治、経済の最上位目的と前提します。

 

TOP > 経済 > title - 上念司という評論家について      
  

上念司という評論家について 

 今回は人物評です。それも、批判的な人物評です。
 とは言え、有名な人への名指しでの批判は結構躊躇われるものですね。

 もちろん政治家や政府官僚の言うことについては「社会的な建前が多く含まれているはずだ」という理解をもつべきであるから、「政治家や官僚を安易に批判しない」というスタンスは守り通していきたいと考えています。

 しかし、学者、評論家、コメンテーターといった言論の分野の者達は、「国家において大儀のある立場」を背負っているわけでもありません。ですから、そのぶん「言論の自由」を享受している彼らについては、それなりの厳しい態度をとって罰は当たらんだろう、と思うわけです。
 特に、政治家でもない彼らが、単にチヤホヤされたいという心持で大衆に迎合した場合は、これを徹底的に糾弾し、批判し、非難しなければならないのだと考えます。


 というわけで、今回は俺が大嫌いな評論家の一人について論評していきます。

 上念司(じょうねん つかさ)という評論家についてです。




今回は、上念氏のファンの方には無理に頼みません……が、特にそういうわけでもないという方は、ランキングにご協力ください。
お忘れにならぬよう、押してから読んでいただけると嬉しいです。








 さて、そうは言うものの、俺は上念氏の言うことの一つ一つすべてに批判的であるというわけではありません。
 例えば、「反原発に対しての批判」とか、「国債がデフォルトするという嘘話に対する批判」などの立場については、俺とて同じ考えです。

 しかし、これら一つ一つの事実認識の前に、上念氏が「経済における、政治の目的」としておいているであろう根本的な立場に、俺は賛同するわけにいかないのです。



 上念氏といえば、「金融の量的緩和」です。つまり、「日銀が円をじゃんじゃん刷って、銀行の貸し出せる円を増やす」ことによってデフレを脱却することを強く主張する立場をとっているのです。
 氏にとって、この「金融緩和」は譲れない主張であることは明白でしょう。さらに、消費税の反対で不誠実な態度をとり続けたことによって世の中からの信を失った倉山満氏の経済論の、理論的支柱が上念氏の金融緩和論であることも明々白々です。(ですから、倉山氏が信を失った中で、上念氏が飄々と世の議論に参加していることが不思議でならなかったりします)


 ただ、この「金融緩和への譲れない想い」をもって、上念氏を「単なるリフレ派」と糾弾してしまうと、氏の論法に取り込まれてしまいます。

 一般的に、リフレ的傾向を持った者は、おおよそ財政出動には消極的な場合が多いわけですが、上念氏は必ずしも「財政出動」を否定しないのです。
 例えば、議論の場に三橋貴明氏がいらっしゃる場合は、「金融緩和して刷った円を、政府が借りればよい」というようにずいぶんと財政出動の立場に寄っていったりします。
 しかし、その場に、財政出動に思い入れのある論者がいない場合は、主に金融緩和について「のみ」語るわけです。

 つまり、「財政出動にさえ賛同しておけば、金融緩和に賛同してくれそうな者」の前では、微妙に財政出動に肯定的になり、そうでない場合は否定も肯定もしないのです。さらに、「金融緩和に強い思い入れがあり、財政出動を嫌うもの」の前では、当然微妙に財政出動に否定的になります。
 勿論、人間ですから、「その場にいる人間の論調に対し、ある程度歩調を合わせる」ということは誰でもやることでしょう。
 また、本心が「実は財政出動に対して否定的」なのであれば、それはそれで良いとも思います。それならば、きっと状況に応じて議論になっていくでしょうから。


 しかし、ここで問題視したいのは、上念氏が「財政出動に対する立場」について、「否定も肯定」もない――つまり、「どっちでも良いと考えているらしい」というところであります。
 氏にとっての注目点は、「金融緩和によって、市場に投じられる円の量が増えること」であって、増えた『銀行が貸し出せる円』が、「政府によって使われよう」と、「民間にて土地や証券へ回ろう」と「ドル圏への投資へ向かおう」と、どれでもよいと考えているところが、非常に問題であると考えるわけです。

 これによって、まず、上念氏の「政府の支出についての拘りのなさ」や、「政府の役割についての思い入れのなさ」が伺えます。
 次に、「民間にて土地や証券へ回る」ということについての批判のなさは、「実体経済」への思い入れのなさと「資産価格先行」への無批判が故としか考えられません。
 さらに、「ドル圏への投資へ向かう」ということへの無批判は、「円安の礼賛」と「グローバル化への無批判」および、「アメリカからの独立についての密かな想いの欠如」が故としか考えられません。


 とりあえず、俺としては、「資産価格先行」はある程度仕方ないにしても、「円安の礼賛」と「グローバル化への無批判」および「アメリカからの独立についての密かな想いの欠如」は、到底理解しがたい指向です。これが総理大臣や外務官僚に対してであれば、「現状、東京湾すら軍事的に抑えられているし、チャイナの脅威もあるのだから仕方ない面もある」と理解する寛容精神も幾ばくか発揮しようと思えますが、氏は何の公的立場もない評論家ですからね。


 さらに、「政府の支出についての拘りのなさ」や、「政府の役割についての思い入れのなさ」は、逆に言えば「市場の一人一人が享受する便益の最大化に対する思い入れの強さ」と言い表すこともできます。
 つまり、上念氏の根底にあるのは、「『経済における自由』への無批判」及び「個人個人の便益の最大化が、イコール国家の利益であるという指向」であると糾弾したいわけです。


 上念氏は、おおむねそういう根底から筋が伸びているから、消費税には激烈に猛反発する一方で、TPPと規制緩和には批判的ではなく、小泉内閣についてずいぶんと肯定的なわけです。
 つまり、「政府が個人に対して不自由を敷く話」に関しては否定的で、「個人が自由になっていく話」については肯定的なのです。
 そうなると、上念氏がいくら「リフレ+財政出動」の立場をとっていようとも、大元にはいわゆる『新自由主義』の最もマズイ点がしっかりと根を張っている……と、評さざるをえません。




 勿論、もともと「経済における自由と、個人個人の便益の最大化」を「経済における、政治の目的」とする心根のある者からすれば、それは「良い事」なんであって、俺の記事のほうが「理解しがたい指向」なんでありましょう。

 ただ、俺は、「経済における、政治の最終目的」とは「国力の増強と、独立性の堅持」であると考えます。
 さらに、「個人個人の自由と便益は、必ずしも国力の増強と独立性の堅持に整合するわけではない」と考えるが故に、上念氏の論調に賛同することは永遠にできないわけです。




 しかし、それにしても(世の中には、もっと酷い論じ方している輩だって沢山いる中で)「自分が何故、こうも上念氏の論調が嫌いなのか」と考えた時、もう一つのことが分かりました。
 それは、上念氏の論調が、「政府に恭順したくないけれど好景気は享受したい、と要望しながら、自分を卑しい者と思わずに済む理屈」を個人個人に与えることによって、大量の個人に迎合する論調であるから……です。

 そもそも俺は、そうした指向を持つ『大量の個人の塊(大衆)』が嫌いで嫌いでたまらないので、それに迎合する姿勢も嫌いで当然なのでしょう。



(了)



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コメント

上念司氏がダメな理由

論旨に異論がある訳ではないんですが、上念司氏がダメな理由は売国宰相安倍を擁護しているからということで充分な気もします。

プラモデル工作員 #- | URL | 2013/11/13 08:19 [edit]

Re: 上念司氏がダメな理由

プラモデル工作員さま、コメントありがとうございます。

 ただ、俺は、イチ平民には首相を売国呼ばわりする資格も能力も大儀もないと思いますので、そういう論の展開はしたくないのです。

後藤真(おーじ) #- | URL | 2013/11/13 17:51 [edit]

No title

上念氏の嫌いなことは設計主義だと言っていました。
なので政府による経済政策にははっきり反対ですね。

金融緩和により円がどこへ流れるかは問題ではあるのですが、それを政府がコントロールしようとするのは、上念氏的には設計主義になるのではないでしょうか?
そういう意味では分かるような気がするのですが。

最後の自分を卑しいとのくだりが今ひとつ理解できないですね。
もうすこし考えてみます。

tomato #mQop/nM. | URL | 2013/11/13 18:44 [edit]

後藤真様

ぬるい

プラモデル工作員 #- | URL | 2013/11/13 20:47 [edit]

No title

安倍総理には腸が煮えくり返るような思いを抱いています。
でも、後藤さんがおっしゃる「イチ平民には首相を売国呼ばわりする資格も能力も大儀もない」を支持します。
今起きている問題は、安倍総理1人が生み出したものではなく、年月を重ねた根深い病床があると思うからです。
上念氏への批判に絡めて、その病床にも触れている鋭く深い記事だと感じました。

あ、腸が煮えくり返るというより、悲しみのほうが合ってるかもしれません。

めぐみ #EKiiF6bo | URL | 2013/11/14 00:05 [edit]

Re: No title

tomatoさま、コメントありがとうございます。

 なるほど、「刷った円を、政府がコントロールしようとする」のは、上念氏的には設計主義になる……上念氏の本心を言い当てているように思えます。

 最後の段をかいつまめば、「日銀が円を刷るという、個人が特段不自由を強制されなさそうなもの」だけは「景気回復を享受できそうに思える」から受け入れて、「政府がそれを、国家全体の力を高めるようにコントロールする」という「個人が不自由や不平等を強制されそうなもの」については受け入れたくないというのは、甚だ個人個人に都合のよい理屈で、しかもそれを愛国で飾りたてるわけですから、これはちょっと直視できないくらい卑しく、醜いなあ……と、俺は思うのです。

後藤真(おーじ) #- | URL | 2013/11/14 07:22 [edit]

Re: No title

めぐみさま、コメントありがとうございます。

 俺の言いたい事を代わりに、しかも俺より上手におっしゃってくださりありがとうございますw

後藤真(おーじ) #- | URL | 2013/11/14 07:30 [edit]

素晴らしい。

上念氏にしても田中秀臣氏にしても、何か軽いなと感じていたので、上手く言ってくれたと感じました。
チャンネル桜という番組の動画でTPPの議論がありますが、推進派(容認派)の田中氏の発言は酷かった。典型的な新自由主義というのかリフレ派とかいうのは経済をマネタリーベースでしか語れないのか?それ以外はどーでも良いという印象を受けました。原田氏もころころ発言の骨子が変わる。私はTPP反対ですので余計に腹が立つやら呆れました。逆に反対派の面々は非常に説得力があり論理的でした。経済本は三橋氏の本から読んでるので、多少反対派に思い入れはあるのは事実ですが、それを差し引いても推進派は酷かった。

にし #- | URL | 2013/12/18 04:54 [edit]

Re: 素晴らしい。

にし様、コメントありがとうございます!

 にし様が心に浮かんだものを、この記事が幾ばくか代弁できていたのであれば、こんなに素晴らしいことはありません。
 TPPについては、また書いてみたいと思います。

後藤真(おーじ) #- | URL | 2013/12/20 00:29 [edit]

円をじゃんじゃん刷って=無理解

金融緩和の狙いを円刷りまくることだと思っているのは、相変わらず君を含めて多いねw

金融緩和の狙いはレジーム転換だよ。サージェントの論文でも読んで出直しなさい。

あんたの敵w #- | URL | 2014/01/27 13:14 [edit]

んー

「嫌い」な理由は「はっきりしないから」?
少しロジックが軽い気がします。

あなた実は、そもそも上念さんのこと嫌いでしょ?
結論ありきの批判にしか聞こえないです。

上念さんて円安を礼讃しているんですか?
違うでしょ?
「無批判」=「礼讃」という決め付けは非常に危険です。
殺人について批判しないからって殺人を礼讃していることになるんでしょうか?

もう一度頭を冷やしましょう。

下念司 #wrB61YYk | URL | 2014/02/07 23:56 [edit]

No title

上念氏がよく言う、「金融緩和が効かないなら『無税国家』の誕生ですね!」って、結局…


金融緩和

物価上昇しない

無税国家の誕生!

(いくらでも金刷って社会保障など賄える)


「結局、財政出動してるやん!」と、ツッコミたくなります

金金ぎょく #- | URL | 2014/03/09 11:46 [edit]

No title

「基本的人権の尊重に反対」って、あなた、具体的に書かなきゃ。
保守どころかアナーキストじゃん。

#- | URL | 2014/04/24 07:23 [edit]

承認待ちコメント

このコメントは管理者の承認待ちです

# |  | 2014/04/26 23:01 [edit]

No title

根拠なし、程度が低すぎ、思わず笑ってしまった

なめちゃん #r/lYEntA | URL | 2014/06/04 20:10 [edit]

経済・政治を適確に捕らえていている

 いつも政治経済を適確に捉え、国民に提示していることに感謝しております。失われた20年を反省する資料になります。活躍を期待しております。

古川 典保 #Rw0x0Vrc | URL | 2014/07/02 09:35 [edit]

No title

このような投稿をネットで見つけました。
この上念というひとは嘘つきで有名なのでしょうか?
だとしたら↓この投稿内容は許せない内容だと思うのですが…


攻撃前に避難を呼びかけるイスラエル、避難を妨害するハマス(現地在住日本人からのレポート)
Posted: 7月 12th, 2014 ˑ Filled under: 政治  上念司
http://real-japan.org/israel/?fb_action_ids=699164426811947&fb_action_types=og.likes

ちなみにこの↓
ガザのまとめの最後にこの上念さんの投稿URLが貼り付けられていて知りました…

http://matome.naver.jp/odai/2140558954607171001

これに対する現地の証言もコメントに貼られています

日本のテレビが報道しないガザ空爆緊急レポート
「圧倒的戦力の違いによる空爆は虐殺である」#GazaUnderAttack

>インタビューに答えるガザ市民Abdullah Kullabさん(30歳)

「ちょうど深夜1時頃、なんの警告も無しに、F16戦闘機が2発のミサイルを発射した。Mahmoud Hajさんの家は全壊、一家全員が死亡した」

>なんの警告も無しに

上念さんの投稿内容とは全くの正反対の内容なのです
どういうことでしょうか。
もし上念氏について何かご存知でしたら記事で教えて頂ければ幸いです…。

教えてください #mQop/nM. | URL | 2014/07/20 01:38 [edit]

金正男の死

上念といういう人のニュース番組のひどさに呆れて、検索した結果こちらに辿り着きました。
金正男氏が毒殺されましたが、例え北の人間であったとしても、どんな人間であったとしても、人間には違いありません。それを面白おかしくマサオがマサオがと茶化してる話してるのを見て吐き気がしました。
これです↓
https://www.youtube.com/watch?v=VJI5_ra2wTA

虎のもんもん #POQ5NLzM | URL | 2017/02/15 16:27 [edit]

何も間違っていないしあの軽妙なノリが良い

財政出動はやればいいと言ってる。何が問題なのかわからない。どうして金融と財政を対立概念のように書き立てる?
それは財政出動優先派、ハッキリ言って土建派が金融緩和第一と言う安倍政権にイラついているからでしょう。
嫉妬は醜いですよ。

imadoki64 #- | URL | 2017/08/06 18:24 [edit]

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