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日本が日本であるために

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国土強靱化と未来の不確実性 

 今回は、国土強靱化の議論の中で、俺が最も注目すべき点だと考えつつも、世間一般ではあまり着目されていないと思う点を述べたいと思います。

 それは、未来の不確実性の話です。
 つまり、「人間では想定不可能な『危機』という領域は、かなり大きく存在するのだろう」という前提に立つのが『国土強靱化』の最大かつ最重要な論点なのだと主張したいのです。

 これは、本当に大切な論点なのですよ!

 というか、この論点を抜いてしまったら、それは単なる『国土強化』であって、『国土強靱化』と呼べる代物ではなくなってしまいます。
 『国土強靱化』に『靱』の文字が入れられているのは、人間では想定不可能な『危機』に対して、『靱帯』のように伸縮の利く強さをイメージしているからだ……という所は、是非とも捉えておきたい点であります。




今回も国土強靱化の議論に賛同される方には是非ランキングにご協力いただきたいです。
お忘れにならぬよう、押してから読んでいただけると嬉しいです。







 国土強靱化に対して、(ある程度政治に着目する人々であっても)一般的な国土強靱化のイメージは「防災、減災によって、国民の生命を守る事」なんだろうと思います。
 つまり、東日本大地震を受け、単に「地震などの災害に備えて、物理的に『生命の安全』を確保する話」と、そういう風に捉えている人がとても多い気がするのです。

 また、「我々の命の安全を確保する話」だからこそ「我々の税金を投入する意義が認められる」と、こう考えている人も結構いるのではないでしょうか。
 もっと言えば、「政府には、国民の生命を守る義務があり、国民には生命を守ってもらう権利がある」と勘違いしているのではないかと疑っているのです。


 こういった「命の安全」を政府に請求する態度は、「未来に起こる脅威の、人間が予測できる範囲」を、もの凄く大きく見積もってしまっているが故に起こるものです。
 何故なら、仮に、命を脅かす『脅威』のほとんどの内容が、人間にとって具体的に(確率的にであっても)算出できるものであれば、その『実証的な科学』に基づいて、政府は国民個々人の命を99%は保証できるということになりますでしょう。

 対して、未来を非常に不確実なものだと見て、人間が『実証主義的』に算出した範囲など、『脅威』のほんの一部である……と、見積もれば、そこで政府に求めることができる「個人の命の安全」も同時に少なくなります。なぜなら、政府を構成するのもまた、人間だからです。


 こういった、『脅威』に対する、想定外の『危機』の見積もりによって、政府へ請求できる『生命の安全』の多い少ないが変わってくる……という関係を、まず把握していただきたいのです。


 また、その関係を掌握するのは『実証主義』への態度にあることにも軽く触れておきましょう。
 実証主義というのは、現代で自然科学と呼ばれるものの基礎的な考えになっています。つまり、「繰り返し実験して、法則性を把握する」という主義です。

 しかし、この実証主義に強烈な批判を下したのがウィトゲンシュタインという人でした。
 めちゃくちゃ乱暴に説明すると、「沢山実験して法則を掴んだと思っても、それは単にそいつが法則立ててるだけで、別な法則立ては無限にありうるぜ」という話です。
 これは、「人間が見たりして判断する基準なんて、(人間の視点を越えた所も含めた)世界のほんの一部だという事を忘れてはならない」って話でもあります。


 この、ウィトゲンシュタイン的な『実証主義』への懐疑の態度が、『国土強靱化』の中に理念的に織り込まれているのだ……と解釈するべきなのだと、俺は考えます。

 実証主義を懐疑し、人間が確率的に予想しうる『脅威』は、(人間の視点を越えた所も含めた)世界のほんの一部で、確率的にも予測できない『危機』の領域は膨大なものであるが故に未来は不確実ーー
 この前提に立った上で、その予測できない『危機』に対し、どう待ちかまえるか、というのが国土強靱化の議論なのです。


 一昔前に東電の社長が「想定外も想定しておくべきでした」と謝罪させられた事がありました。
 勿論、いち民間会社に「想定外を想定」する責任などあろうはずもないので、これは、大量の大衆にミソっくそ叩かれつつも反論したらそこに理があろうがなかろうがまた大量の非難を浴びるが故に反論できる立場になかった東電の、かろうじて絞り出した皮肉に違いないのですが……


 まあ、それは良いとして、「想定外の想定」これは民間企業には出来ませんが、『政府』ならある程度できます。

 ただそれは、『個人個人の命』を最終目的と置いては不可能です。『確率的に予想できる脅威』であれば個人個人の命を目的にして守る事も可能でしょうが、今は『想定外の危機』の話をしているのです。

 それに対し、『政府』が『想定外の危機』を想定し『国家全体の存続可能性』を高める……という話であれば、「想定外の想定」も可能であるし、確かにこれは政府のやらねばならない仕事であると言えるでしょう。

 つまり、『想定外の危機』に対して、国家『全体』が存続する上で『強靱』になるという事を目的とした話なのです。

 そして、それには国家全体が
1「危機に対して、国家の中枢部に致命傷を追わない」
2「危機に対して、どこかが潰れれば全部ダメになるといった可能性を排除するため、なるべく国土の中で力を分散する」
3「危機に対応できるよう、平常時の国土には無駄なもの、既にあるものを作っておく」
 という、体制を持つ事が必要になってきます。

 そして、先ほど「民間企業には出来ないが政府にはある程度できる」と言ったのはこの体制の1から3全てが、『市場の論理』と逆方向の性質のものだからです。
 次回は、その辺りから論じてみたいと思います。



(了)


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Category: 政治

Thread: 政治・経済・社会問題なんでも

Janre: 政治・経済

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コメント

No title

「未来の不確実性」という言葉は怖い言葉のように見えて、不謹慎かもしれないけど、それに向かう時、もの凄い可能性を秘めているように見えて、冒険心をくすぐられる自分がいます。そこに「血」を感じるとでも言いましょうか。
先人の声に耳を傾け、先の世代を思いやり、想像力を目一杯働かせて、一人一人の国民がそれぞれの場所で力を発揮して初めて、強靭化をなし得ることが出来るのではないかと。

どこかで後藤さんがおっしゃっていたように、『民が国家の属性を帯びること』が一番大切なことなのですよね。
政府に請求している場合じゃない(笑)

めぐみ #EKiiF6bo | URL | 2013/11/22 00:10 [edit]

No title

めぐみ様(はじめまして^^)がとても上手に表現されていて、それ以上の表現がみつかりません!

「国家」に対しての認識を自分も己に問い詰めていきたいと思います。

りょうすけ@政治初心者 #X.Av9vec | URL | 2013/11/22 02:30 [edit]

Re: No title

めぐみ様、コメントありがとうございます!

 確かに、「未来の不確実性」という言葉は、可能性の肯定にも繋がる話なのかもしれません。
 危機が確率的にすら予測できないのであれば、僥倖も確率的に予測できないという事ですもんね。
 全然そんな風に考えた事がなかったので、はっとさせられました。

 俺には、「日本は百年以内に離散する」としか考えられないのですが、未来は不確実ですから、ひょっとしたら離散しないかもしれない……と考えると希望も沸いてくるというもの。それこそ不謹慎しょうか(汗)

 国民が国家の属性を帯びるというのが、国家を強靱にする第一の条件だと思います。
 政府への請求も、小集団の代表ごと議論の上で請求し、全体としての調和を取る事を考えねば、単なる内輪揉めになっちゃうんですよね。

後藤真(おーじ) #- | URL | 2013/11/22 08:07 [edit]

No title

りょうすけ様

はじめまして。お2人のコメントのやり取りのファンです(^^)
褒めていただいて嬉しいです。
こちらのブログは、学ぶ楽しさも教えてくれますよね!


おーじ先生

不謹慎大好きです(笑)
不謹慎な楽しみを抱いて、絶望を生き抜きましょうぞ。

と、おどけてみるものの、後藤さんの『「日本は百年以内に離散する」としか考えられない』という言葉は重く響きます。
離散するのだとすれば、こうやって言葉に紡ぐ作業に、ますます不謹慎な希望を抱かずにおれません。
「今」だけでなく過去にも未来にも思いを馳せながら生み出された言葉は、百年後の人の心にも訴えるものがあるはず。(とプレッシャーを与えるw)

内輪揉めは、もうお腹いっぱいです!

めぐみ #EKiiF6bo | URL | 2013/11/22 10:59 [edit]

Re: No title

りょうすけ様

 諸手を上げて同意です!



めぐみ様

 多分、絶望を皮肉るっていうのが結構大切な姿勢なんですよね。


>「今」だけでなく過去にも未来にも思いを馳せながら生み出された言葉は、百年後の人の心にも訴えるものがあるはず。

 素晴らしいお言葉に感激いたしますが、俺の言葉が百年後に顧みられる事はないでしょうから、全然プレッシャーになりませんw


>内輪揉めは、もうお腹いっぱいです!

 諸手を上げて同意です!

後藤真(おーじ) #- | URL | 2013/11/22 18:19 [edit]

No title

めぐみ様

後藤様とのやりとりを見ていてくださったんですね。嬉しいです^^
ほんと、後藤様のブログは学ぶ楽しさを教えてくださいます。
前とは違った景色が見えてきているのが実感できているんですよ!



後藤様

「日本は百年以内に離散する」としか考えられない

後藤様からこのような言葉を聞くと、ギクリとします(汗

でも本当にそう思っている方がこのような素晴らしいブログを書くものなのかどうか。後藤様自身が気づいていない心の底のどこかで日本の可能性を信じていらっしゃる気がします^^



りょうすけ@政治初心者 #X.Av9vec | URL | 2013/11/23 01:17 [edit]

Re: No title

りょうすけ様

 確かに俺は、「日本は百年以内に離散する」と予見しているのですけれど、それは嫌だっていう意地と意志を表明せずにはいられないというだけなのです。
 逆に、離散を予見した上ではじめて、それに抗う姿勢なり態度なりを獲得できるのだという風にも思っています。
 勿論、それを陰鬱にやってしまうのも粋ではないので、(不謹慎であっても)出来る限り朗らかにやるべきなんだろうと思うのです。

後藤真(おーじ) #- | URL | 2013/11/24 12:38 [edit]

No title

後藤様

そこまで深く考えられていたんですね。
そしてその上で「出来る限り朗らかに」という姿勢に感銘しました(TT)

りょうすけ@政治初心者 #X.Av9vec | URL | 2013/11/24 23:43 [edit]

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