09 «1.2.3.4.5.6.7.8.9.10.11.12.13.14.15.16.17.18.19.20.21.22.23.24.25.26.27.28.29.30.31.» 11

日本が日本であるために

時事、ニュース、政治、経済、国家論について書きます。「日本が日本である」ということを政治、経済の最上位目的と前提します。

 

TOP > 経済 > title - 3.藤井聡教授V.Sリフレ派      
  

3.藤井聡教授V.Sリフレ派 

 マンデルフレミングを見ても分かるように、実の所、藤井教授とリフレ派の対立は、「TPP」を始めとする国際経済についての立場を見る必要が絶対にあります。
 何故なら、「投資の期待の先にある主要な需要」を『公共支出』と想定するか『輸出』と想定するか……という所に、文脈の根本的対立があるからです。

(※安倍政権発足時から安部首相のTPP交渉参加表明までは、この事を指摘しようとすると「保守分断だ!」と言われかねない情勢でした。が、TPPの件以降、リフレ派はマンデルフレミングを持ち出す等して、この事を別に隠そうともしなくなりました。都合の良い時には「保守分断だ!」と言って意見を牽制しておきながら、情勢が変わった途端に態度を変えるというのは本当に『卑怯』な人々だなあと、私は感じていたわけですが……)

 まあ、なにはともあれ、今回は需要のビジョンにかんする『公的支出』と『輸出』を焦点に。


 リフレがどうしても好きでたまらない……という方には無理にとはいいませんが、そうでもないという方はどうかランキングにご協力ください。お忘れにならぬよう、押してから読んでいただけると嬉しいです。




はなはな1


 まず、「投資の期待の先にある主要な需要」について、藤井教授とリフレ派の違いをザッと区別してみます。


【藤井教授】

 藤井教授は『公的需要』を「投資の期待の先にある主要な需要」と考えます。
 公的需要に喚起される形での民間投資、および民間投資に喚起される形での民間需要(乗数効果)というような形での『短期的なビジョン』を提示しているわけです。

 そして『長期的ビジョン』にも(これが見過ごされがちですが)、公的需要を主、民間需要を従とした『大きな政府』への指向があります。(ですから、長期的には増税に賛成のはずなんです)

 その国内経済循環の為、対外的には、保護貿易を指向します。(ですから、TPPには絶対反対だったのです)



【リフレ派】

 リフレ派は「輸出」を「投資の期待の先にある主要な需要」と想定します。
 海外の需要を取り込む事を前提として民間投資、および民間投資に喚起される形での民間需要という『短期ビジョン』を提示しているわけです。(ですから、円安を国益と換算している)

 そして『長期的ビジョン』にも(これが見過ごされがちですが)、海外需要とそれに喚起される国内民間需要を主、公共需要を従とした、『小さな政府』への指向があります。(ですから、長期的にも増税には絶対反対なのでしょう)

 さすれば当然、対外的には自由貿易を指向します。(ですから、TPPには賛成、あるいは容認するわけです)



【考察】

 そもそも、ケインズの『一般理論』での「流動性選好」(貨幣を信用財産として所有しようとする気分)は、未来の「不確実性」を前提にしていました。
 流動性選好で投資が控えられているというのは、イコール「投資――供給増」に見合う「需要のビジョン」がない……つまり、「金を借りて、投資をして、供給をしても、売れないだろう」と見通す企業家の気分、精神が、「貨幣を信用財産として保有」したり、「銀行から金を借りて投資することを控え」たりという行動に繋がる。企業家は、別に「物価下落による貨幣価値の高まりに投資していた」わけではないのであるから、仮に彼らが将来のインフレを予測したとしても、将来における需要の見通しがつかなければ投資しないのです。
 言い換えれば、「投資して、供給しても、需要されえない」という『不確実』よりも、『信用資産』として貨幣を保有する『確実』を選好してしまう、あるいは銀行からお金を借りて投資する『不確実』を避けてしまう……というのが、『雇用利子および貨幣の一般理論』でいわれる「流動性選好」の本旨のはず。
 そして、IS――LM分析がこの事を致命的に取りこぼしているのは、その制作者であるヒックスも認める所なのです。

 藤井教授の『国土強靱化』は、一般理論の不確実性の考えを継承したものだという側面もある。何故なら、政府支出およびその乗数効果は、企業家にとって『確実』な需要のはずだからです。おおむね、人々は政府の悪口を言いますが、実の所は政府ほど確実なものはないということは知っているでしょう。



 これに対してリフレ派的に、IS――LM分析のLM曲線を、単に金融緩和によって右へシフトさせるというのは、不確実性を考慮にいれていないという話になってしまう。

 ところで、リフレ派は純粋に貨幣数量説に基づいてモノを言っているのかと言えば、必ずしもそうではありません。長期的にはそう思っているのだとしても、短期的には直裁的に貨幣数量説を取っているわけではない。
 彼らはつまり、長期的には貨幣数量説の世界観を持っているが、短期的には、「将来の貨幣数量に対する予測を、確実なものにする」という事で、インフレ予測を起こし、「将来インフレになるんだったら投資しなければ損だ」と企業家に思わせて、投資増から実体経済のデフレ脱却を指向する……という、インフレ・ターゲット論を主張しているのであります。(そういえば、小泉政権下で言われていた「上げ潮派」という名称は何処へ行ったのでしょう)

 ただ、この考えで行くと、投資の結果に供給されるものは、必ず需要される(あるいは、必ず需要されるものを供給できる)という、セイの法則を前提としたサプライサイド経済学(パパ・ブッシュがブードゥー経済学と揶揄した)になってしまう。
 実際、この問題はリフレ派であっても流石に分かられていることであるから、次の事が(密かに)前提とされている。

 それは、

「投資によって増えた供給は、(必ずしも国内で需要されるとは限らないが、)輸出によっては必ず需要される」

 あるいは

「輸出によって需要されるものを必ず察知でき、供給できる」

 はたまた、

「平均的には、そうである」

 と、いうような話であります。
 リフレ派においては、これが(おそらく無自覚に)前提とされている。

 だから、彼らは需要にかんする不確実性は考慮にいれない。
 いや、需要にかんする不確実性は「輸出」によって解消されていると見なすことを前提としている。
 で、あるから、IS――LM分析の流動性選好が、未来の「不確実性」を表現し切れていない事に何の配慮もなく、マンデルフレミングモデルという形で歪に拡張されたモノを持ち出す事に躊躇いもないのです。

 ただ、この前提は、そもそも『大衆』が前提とする指向であり、リフレ派は大衆の気分や風潮を引き受けた格好だ、とも言えます。

 日本現代大衆人は、企業家には「輸出によって需要されるものを察知」することを強要するのであり、国内市場の消費者には「輸出によって需要されるものを需要する事」を強要するのであります。これは、「グローバル市場から取り残されるガラケー(ガラパゴスケータイ)は止めて、スマフォを使いましょう」というような運動(流行)に、象徴的に現れているでしょう。
 この、タッチパネルの広まりも、消費者の自発的な選好だというのでしょうか?(あるいは平均的にはそうだというのでしょうか?)だとすればグローバル市場に対し、こんなに都合の良い選好はありません。だって、消費者の自発的な選好に任せておけば、彼らは自発的にアメリカ市場で求められるモノを選好してくれるというワケでしょう?
 でも常識で考えればそんなわけありません。あれは自然に考えて、アメリカ市場で需要されるものを供給するために、需要するよう促されたんです。
 これは誰が促した……という話ではなく、日本人がです。大衆が喜んでこの事を選好したのです。
 家電メーカー、広告代理店、消費者という、一個の塊……大衆が、共有された雰囲気の上で全体としてそういう行動をとった。それが『流行』を形づくった。でも、大衆が喜んですることを礼賛する事を、日本語で『大衆迎合』とか『民主主義』というのです。

 リフレ派の『前提』は、大衆のこうした指向を引き受けています。むしろ、大衆が喜んでこうした風潮へ進んでゆく事を、「個々人の自由な選好」として肯定的に捉えるきらいさえあります。
 また、政府公共支出より、そうした大衆の眩示的欲求に従った方が民主的でよろしい……というような発想は、まさに大衆礼賛の髄とも言えるでしょう。

 故に、私はこれを『大衆パラダイム』と呼ぶのです。

 このパラダイムは、「アニマルスピリット」というよりは「フロンティアスピリット」と呼ばれるべきシロモノでしょう。
 そして、大衆によるフロンティアスピリットの大行進を、「ノベルスオブリージュ(高貴なる者に強制的に課された責任)」によって棄却する呼びかけが『国土強靱化』だったのです。



(つづく)
関連記事
スポンサーサイト

Category: 経済

Thread: 政治・経済・社会問題なんでも

Janre: 政治・経済

tb 0 : cm 3   

コメント

No title

まあ何と言うか、もう少し直接に「リフレ派」の主張を見聞きされた方がいいのではないかと思う次第です。

リフレ派が外需優先(または重視)なんて大きな誤りですよ。

確かに円安は輸出を伸ばす傾向にありますが、それが主たる目的ではありません。インフレ期待やそれに伴う実質金利の低下は様々な波及経路を経て国内の民間需要を喚起する効果を有しています。それは現実にアベノミクスの成果として現われていることからも分かることです。

「公的需要を先行させればデフレを脱せられる」という「仮説」は既に小渕・麻生政権という歴史が否定している、ということをまずお認めになるべきです。

空き地 #- | URL | 2014/07/06 16:39 [edit]

No title

空き地さんは、

景気循環というものがある場合に、
VARモデルをつかって公共投資の乗数効果を計測することが、
妥当かどうかを検討してからまた来てください。

リフレ派の方は数学的素養のない方が
多いような気がしますので。

主観ですが。

上人 #- | URL | 2014/07/07 19:31 [edit]

No title

上人さん

すみません。
「公共事業の乗数効果の計測方法」とココでの議論の関係性を見出せないのですが。

間違ってると仰るのなら、説明なさるなり、正しい論を紹介なさるなりすればよろしいのではないでしょうか。

反リフレ派の方は論理的思考力に乏しい方が多いのかな?主観ですが。

空き地 #- | URL | 2014/07/07 23:23 [edit]

コメントの投稿

Secret

トラックバック

トラックバックURL
→http://shooota.blog.fc2.com/tb.php/188-25617c2e
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)