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【読感文】「小林秀雄 学生との対話」 



 今日は、『小林秀雄 学生との対話』というご本を。
 これは、全国から集まった学生に向けて小林がした講義と対話を纏めたものです。編集が国民文化研究会・新潮社。出版は新潮社。


 小林秀雄の書くものは確かに難解です。たとえば私は(あれは二十歳代の中盤だったか)、かの小林秀雄の出世作だというから『様々なる意匠』を油断して読み、終わる頃には単に青色吐息になったという苦い経験があります。


 しかし、難解で取っ付きにくいと思いつつも、「小林秀雄」に興味のある方は大勢いらっしゃるでしょう。なにしろ、日本における近代文芸批評の祖といわれていて、しかも日本の保守思想の重鎮と考えられている。その上、いわゆる「保守的な政策提言」のようなものをネームバリューを用いて大々的に主張した様子もない。
 ならば、「政治」から離れた上での「批評」というフォーム(姿)だからこそ含みうる保守思想の普遍的エッセンスを抽出して、是非とも自らの養分にしてみたい……という風に、多くの人が思うのではないでしょうか。


 そういう小林秀雄の思想と親しくなるきっかけとしての良書が、今日紹介している『小林秀雄 学生との対話』というわけです。

 学生との対話ということはつまり、小林秀雄の「はなし言葉」ということであります。ですから厳密にいうと、これは小林秀雄の著作ではありませんが、小林秀雄の仕事ではある。そして、相手は学生でありますから、学生にも理解が可能なような語りかけであらねばならないわけです。

 これがなかなか読み進めやすい。
 また、はなし言葉だからといってあなどれなくて、その講義、対話の中から小林秀雄の人間の一端のようなものを垣間見ることができます。

 たとえば、小林は批評の中で人を褒めます。はなし言葉でもそれは同じです。本居宣長を褒め、柳田國男を褒める。しかし、注目すべきは、その「褒め方」「褒めどころ」なのです。
 小林は、その創作人の「私」としての直覚、信仰、主観といったものを重視します。
 対して、万人に通用するような分析の手法、制度、数理科学、客観といったものをそれ自体として評価しません。もちろん小林とて、分析や客観を蔑ろにするわけではありません。手段として、手法として、分析や科学を駆使すべきであるとは言っている。ですが、小林が感動し、褒めるのは、創作人の直覚や信仰といった主観性なのです。だからこそ、小林は政治的イデオロギーといったものを嫌い、政治的な群れを嫌い、政治的制度論については論を伸ばさないわけであります。

 そういう態度は「実存」と「保守」と「実践」の問題としてさらに複雑な問題を孕んでいるようには思われますが、少なくとも小林秀雄の「姿(フォーム)」が、はなし言葉の中からも大いに見て取れることだけは確かです。ですから、講義、対話といった「はなし言葉」はあなどれないのであります。


 また、一度そうした小林の姿(フォーム)に触れておくと、たとえば『様々なる意匠』なども捉えやすくなる。要は、「はなし言葉での姿」が頭の中にあるので、その「書き言葉の姿」も同じ人物の心の連続の中にある……という風にイメージしやすくなるからであります。

 ただ、そうやって小林秀雄の「話し言葉の姿」「書き言葉の姿」に少々触れてみても、その姿をモノに出来ていると思うのは勘違いです。たとえば、私がこうやって本の紹介をしているのは、小林の言葉の「意」を似せているに過ぎません。その言葉の「姿」を似せようとするならば、やはり読書百遍が必要になってくる。
 しかし一方、読書百遍にしても最初の一遍からだし、また、非凡な創作者の姿(フォーム)に触れてゆくにも最初の一冊からということも言えるでしょう。



学生との対話 小林秀雄(国民文化研究会・新潮社)





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