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日本が日本であるために

主に政治、経済、時事、国家論についてなどを書きます。日本が日本である、ということを主軸に論を展開していきたいです。

 

【第2回】日本国憲法の諸問題(前文と国民不在の国民主権) 



【前文と国民主権】

 ともすれば、「憲法の問題は九条だけではない」と主張すると、「そうだ。前文がマズいのだ」と応じられる場合が多々あります。そして、この有名な一説を引用するのです。


――平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。(日本国憲法・前文)



 確かに、これも酷い文です。また、この前文に適合する形で九条が導き出されているのも確かでしょう。

 しかし、前文でほんとうに着目すべき所はこの部分であります。


――ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。(日本国憲法・前文)



 つまり、『国民主権』であります。日本国憲法において最も問題視されるべきはこのことなのです。

 誤解しないでいただきたいのは、私は何も「日本の主権は天皇にあるのだ! 国民に主権があるなど不敬である!」などという筋肉質な議論を展開したいわけではありません。
 というのも、この国民主権にある『国民』という言葉を丁寧にとれば、ほとんど「ここに国があります」と言っているに過ぎなくなるということもあるからです。『国民』という言葉を丁寧にとるというのはつまり、『日本の国の民』と『天皇』はイコールであるという日本文化圏における歴史的常識に基づいて解釈するということです。さすれば、国民主権と天皇主権はイコールであるという事も確認されるはずなのです。
 これは別にキレイ事で言っているわけではなくて、元々「主権」という有害なる言葉が、「国家の最高独立性」という対外的な意味でのみ必要である事を鑑みれば、国民主権と天皇主権を分けて考える必要は一切ないでしょう。もっと言えば、「主権」は日本という国家の内にありさえすればよいのであって、排外的でありさえすれば良いのであります。

 しかし、日本国憲法の全体で前提とされている『国民主権』はそうした意味で使われていないし、明らかに別の文脈をもって使われているのです。



【日本国憲法における国民主権は、国民不在である】

 このことを詳らかにするためには、三章『国民の権利及び義務』(10条から45条)を紐解く必要があります。加えて言えば、日本国憲法の最悪の問題はこの三章で明瞭に具体化されていると言って過言ではないのです。

 そもそも、前文で「主権は国民にある」とまで言っているのであるから、普通の読み手であれば当然、「では、その『国民』とは何であろうか?」と気になるはずです。
 しかし、驚くべきことに三章では次のようにある。


日本国民たる要件は、法律でこれを定める。(日本国憲法・第10条)




 常識的な人であれば、この事に軽く混乱を覚えるはずです。
 何故なら、法律というのは憲法に従って制定されるもののわけです。「国の最高法規」なのですから。そして、その憲法では「主権は国民にある」と言っている。にもかかわらず、その『国民』は「法律でこれを定める」といっているのですよ。つまり、法律は憲法を根拠にし、憲法は『国民』を根拠にし、そして『国民』は法律を根拠にしているというわけです。翻って、また法律は憲法を根拠にし……という風に考えざるをえないのだから、これは根無し草の論理と言って言い過ぎではないでしょう。

 とどのつまりこれは、日本国憲法が『国民主権』と言いつつ「国の民」を想定していない証拠であって、『国民不在の国民主権』と呼ぶべきシロモノだということに他ならないのであります。

 勿論、日本国憲法に日本国民が不在だからと言って、日本文化圏に日本国民が不在であるという事ではありません。日本の国に、日本国民はいます。また、日本文化圏は日本国憲法の出来る遥か以前からあるのです。
 ただ、それはルーツある生誕地としての国家……つまり、『ネイション』としての国家において、国民が歴史的に実存しているという事に他なりません。逆に、統治機構、システムとしての国家……つまり、『ステイツ』としての国家という意味において、日本国憲法上、『日本国民』は想定されていないということなのです。もっと言えば、日本国憲法で言う『日本国民』は、ネイションに土着した国民をステイツに反映させるという態度が非常に希薄であり、一章を除いては皆無なのであります。

 では、日本国憲法で想定している『日本国民』とは、一体どのようなものをさして言っているのでしょうか。



(つづく)


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