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日本が日本であるために

主に政治、経済、時事、国家論についてなどを書きます。日本が日本である、ということを主軸に論を展開していきたいです。

 

前編・いわゆる大阪都構想『住民投票』という民主主義イデオロギー 



 5月17日に史上最大とも言われる住民投票が大阪市で行われます。有権者数は211万人に上るとのことです。
 私は、大阪市を廃止して五分割する、いわゆる大阪都構想などというシロモノは、その内容自体が「大衆迎合」の手合であり、大阪市を滅ぼすのみならず日本全体にも思想的、政治的、経済的に大きな害悪をもたらすものであると確信しています。
 が、それとは別個の問題として、そもそも「住民投票によって法律の成否を決する」という手続きの方も最悪なものであるということが分かられていなければならないと思うのです。

 さて、これまで多くの日本人は、「住民投票」というものが、何かすばらしいことのように勘違いしていきました。
 つまり、平成日本の社会では「政治について市民が直接的に権限を持つ」ということは、「民主的で良いことだ」というようなドグマが前提とされてきたということ。
 これが極まると、「世論や市民の選択」に主権がある……つまり、民というものに統治権があるというような最悪なイデオロギー=「民主主義」へ文明が堕することになる。歴史的に見て、民主主義に堕した文明は長期的に没落の段階にあって、これを救う手立ては理論上ありませえん。
 そして少なくとも現今、日本の国の最も劣悪な問題は「民主主義」にあると、私は確信しているのです。

 ちなみに、「民主的な制度」と「民主主義」は別のものとして考えていただきたい。
 前者の「民主的な制度」というのは、「制度」のことですから、制度を活かす「目的」は別にあるのです。この場合、目的は「国家の統治」にあります。国家の統治に価値目的が置かれる根拠は、伝統、権威、信仰といった歴史的正統性にある。また、歴史的正統性を根拠にした統治に価値目的が置かれた人間集団をもってしてはじめて、文明・国家を冠するに値する人間集団足りえるのです。
 そして、国家の統治という目的のために「民主的な制度」が、(とりわけ近代以降の国民国家においては、)好むと好まざるとにかかわらず必要ではある……この事には私とて異論はありません。具体的に言えば、議会を置き、権力を分散し、広く議論を喚起し、自治体や組合など国家に幾重もの共同体的段階を設けるといったような制度。こうした民主的な制度なしに、日本文明を近代国民国家として統治することは極めて困難でしょう。(勿論、戦争などの非常時・危機の場合は、民主的制度を超えた政府権限、軍事権限が優先されるべきことは言うまでもありませんが)
 対して、「民主主義」というのは「主義(イズム)」と冠しているのですから、「民主」自体が「目的」なのです。前者とは逆に、民の政治決定、民の政治判断、民の政治選択……といったものを「統治の根拠」とするイデオロギー。それが民主主義です。要は、それが正しいか間違っているかにかかわらず、「民の政治選択」そのものに最終的な価値が置かれるのですね。

 さらに、民主主義のおそろしい所は、世間で「民の政治選択」と考えられているものが正しかったことなどほとんどない、という所にあります。何故なら、「民の政治選択とは何か?」という事を一つ掘り下げて考えると、それは「政治権限の平等化」ひいては民の「多数」の選択を意味せざるをえなくなるからです。
 尤も、「民の政治選択」といった場合に、「任意の民一人の政治選択」というケースも含まれるのであればその限りではないでしょう。つまり、仮に「一人による独裁」であっても、その「一人」も「民」であることには違いないから、これも「民の政治選択」の一ケースとして換算するというのであれば、おおよそあらゆる統治タイプを「民の政治選択」と銘打つことができる。これならば、「民の政治選択」という語は「政治選択に外人が介入しないのであれば良い」という話で留まるがゆえに健全でありうる。
 しかし、世間で「民の政治選択」と言われた場合、「民一人の独裁」をもその一ケースに含めて話されていることは稀です。
 おおよそ、人が「民の政治選択」と口にする時、それは「全体の民一人一人へ、政治権限を平等に振り分ける」ことと「その多数の選択」という意味を暗黙の内に含んで前提している。それは同時に、「政治権限の平等」と「多数」の醸す香りが統治の正当性になりうるということを前提としてもいるわけです。


(つづく)
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