03 «1.2.3.4.5.6.7.8.9.10.11.12.13.14.15.16.17.18.19.20.21.22.23.24.25.26.27.28.29.30.» 05

日本が日本であるために

主に政治、経済、時事、国家論についてなどを書きます。日本が日本である、ということを主軸に論を展開していきたいです。

 

大衆迎合としての自由市場礼賛 

「(共産主義も失敗したことだし、)経済は自由市場に任せていった方が発展するのだ」
 ……というイデオロギーは、非常に大衆ウケをするものでした。そして、二十年失われた平成日本の経済を掌握してきたのは、この「大衆迎合としての自由市場礼賛」だった。

 何故、自由市場礼賛が大衆迎合になりえたか。

 そもそも、「経済を、より自由市場に任せてゆく」というのは「経済から、政治権力を排除する」という事の言い換えでもありますね。
 そして、大衆が、最も好むのは「政治から権力を剥奪すること」です。大衆というのは、ほとんどこのことにしか興味関心はないのです。逆にいうと、政府による最大の大衆迎合は、「政府の権限を自ら手放すこと」なのだとも言える。

 さて、市場における政府の権限を剥奪する……この代表的なものが『規制緩和』と呼ばれるものです。
 規制緩和というと言葉は柔らかいが、とどのつまり「市場を規制するという政府の権限を剥奪する」ということでしょう。

 あるいは、大衆は
「産業、組合や地縁、血縁など、それまでの経緯によって構築された既得権益」
 という文明的に正統なるものを異常に嫌います。

 そして、既得権益は政治的に保全されているものだから、「市場から政治を排除すること」はイコール「市場から既得権益を排除すること」になる。
 つまり、それまで社会の一部の持っていた一種貴族的な、既存に得ている権益を剥奪して、「そいつらだけズルい。俺にもその権益が回ってくる機会よこせ」という大衆の醜くおどろおどろしい精神に迎合することになるのであります。実際は、日本人として生きている時点で、濃い薄いはあっても、それぞれ何らかの既得権益に浴する形で生きているにもかかわらず、「隣の芝は青い」ということです。

 この大衆のグロテスクな政府嫌い、既得権益嫌いは、経済における『民主主義』といったリベラルな発想がその根底にあるわけです。
 そして、「共産主義も失敗したことだし……」ということで、人類は「自由市場」という民主主義的機能に「進歩の光の先」を前提して憚らない。要は、「経済の民主主義としての自由市場」と「人民による支配、世論という政治的な民主主義」が、弁証法的に歴史の最終到達点だというわけです。

 そして、この「自由市場礼賛」=「経済における民主主義」に理論的根拠を与えてきたのが、経済学であり経済評論であります。
 つまり、「経済における民主主義」へ「効率」という理論的な大義名文を与えるわけです。
 それは大抵、以下のようにして言われます。

「各経済主体がプライステイカーの状態の自由競争は、市場均衡をもたらす。市場均衡は、パレート最適の状態――つまり貴重な資源を効率的に配分し、資本や労働といった生産手段を効率的に配分した上での効用最大化の状態――をもたらす。つまり自由市場は潜在GDP(生産、供給の能力)を高める」

 この論筋を数値的経済モデルや評論で証明することが、大学、ビジネス雑誌、新聞等々の基準となってきた。

 この点においては、実は、「新自由主義」と呼ばれる態度においてだけではなく、「社会民主主義」と呼ばれる態度においても同じだったように思われます。
 というのも、前者は、市場を自由にすると経済が効率化するので「そうしろ」という。
 後者は、市場を自由にすると経済は効率化するが、弱い人が可哀想なので「そうするな」という。

 でも、両者共に「市場から政府を追い出し、政府から権限を剥奪すれば、経済は効率化する」という前提は同じなのです。この前提から逸れることは、大衆の「民主主義」と「リベラル」の文脈から逸れることになる。
 それは、「国家」「政府」「既得権益」を擁護することであるから誰もしようとはしない。そんなことをしても誰からもチヤホヤされないからであります。

 でも、いま本当に必要なのは「大衆目線」で「自由市場の効率性を証明できるような経済理論を一生懸命弾き出す」ことではないと信じます。

 いま必要なのは「統治者目線」と言うべき目線なのです。

 その為に、大衆のサーヴァントたる経済理論、つまり「自由市場の市場均衡」を数値上成り立たせている諸前提に根本的な誤りのあることを指摘しなければならない。

 そして、そうした指摘は、「大衆の都合」に反逆をなすものなのです。



(つづく)


スポンサーサイト

Category: おススメ記事

Thread: 政治・経済・社会問題なんでも

Janre: 政治・経済

tb 0 : cm 0   

コメント

コメントの投稿

Secret

トラックバック

トラックバックURL
→http://shooota.blog.fc2.com/tb.php/272-dfec2dae
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)