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日本が日本であるために

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現代日本経済における諸問題 




 貨幣経済における自由市場の問題が述べられるとき、おおよそ「格差」というものに焦点があたる場合が多い。もちろん、あまりにも人々が経済的に格差づけられるというのは、問題であるに決まっています。

 しかし、格差の問題のみがクローズアップされることになると、政府による市場の修正が、「所得再分配」のみで事足りるという向きへ傾くことになりますでしょう。

 つまり、
「経済の発展は自由市場に任せ、後から政府が金持ちから金を巻き上げて弱い者に配る」
 というヴィジョンです。

 私はこの考えがそもそも間違っていると思う。




 そもそも、政府の財政政策という非・市場的な主体は、三つの機能があると言われています。

1、所得再分配
2、経済安定化
3、資源配分




 実のところ、社会民主的な経済の発想も、新自由主義的な経済の発想も、経済における政府の役割を「1、所得再分配」だけに限定してものを言っている点では同じでしょう。

 社会民主主義的な経済の発想は、「経済の発展が自由市場によってなされる」ということを認めた上で、「政治的には多数の弱者が、金持ちから金を巻き上げる」という発想へ傾斜します。
 対して、新自由主義的な経済の発想は、「弱者へのセーフティーネットは政府によってなされる」ということを根拠に、「市場の自由化」に大義名分を与えようとする。

 つまり、双方、拠り立つ前提は同じで、単にどちらがより「弱い人が可哀想」と思っているかの違いなのです。




 しかし、いま、我々に一番必要なのは、財政政策(政府による恣意的な自由市場への介入)を、「2、経済安定化」にも「3、資源配分」にすら認めるということなのです。

 経済の安定化というのは、すなわちケインズ的な介入で、短期的な問題解決としての財政政策です。
 現今は、社会全体として供給能力が総需要を上回って、価格が下がり、給与が下がり、投資意欲が減退しています。
 この不足した需要分を公共事業などの政府の支出の増大によって補う。
 すると、事業者たちは投資の必要性を見込むことができ、自ずと人件費がかかるようになる。
 その投資や人件費の(貯蓄を除いた)何割かはまた他の支出となる。またまた、他で支出されたものは何割かは別の支出となって……というように、最初は公共事業としての支出だったものが、民間に広く、社会全体の需要の創造になるわけです。

 これが「乗数効果」のいわゆる呼び水効果ということですが、この短期的な流れを中長期に渡って持続させるためには、事業者に「将来における需要の予測」を多く見積もってもらわなければなりません。

 何故なら、事業者が投資をするときは、常に将来を予測してするものだからです。色々な予測がありえますが、特に「将来における需要の予測」は予測の最も大きな決定要因になります。
 これは事業者として投資をする立場になったと想像してみればよいのです。事業者の投資は将来の生産規模を増やしますが、将来の社会にこの需要がなければ、つまり売れなかった場合、彼は首を括る以外に道はなくなってしまいます。

 ですから、社会全体として投資を存在させるためには、持続的な需要の見込みが前提された社会が想定されていなければ不可能なのです。


 しかし、ここで問題があります。
 というのも、民間消費は、投資を除けばあとは個人消費ですが、個人消費の増大の予測には限界があるということです。

 もちろん、短期的には、個人消費の増大を見積もることができるでしょう。
 しかし、根本的に、長期的に、我々の個人消費の増大よりも、機械化、生産性の拡大による供給能力の増大の方が大きくなってしまっているという問題がある。

 ここが自由市場における資源配分の不整合なのです。

 つまり、生産性の増大を、「消費者の選好」による需要で捌ききれないということであります。

 とりわけ、昨今の世の中では、「消費者の選好」を礼賛するケが非常に強い。しかし、大衆化された社会ではそもそも幻を掴むようで低劣な消費が散々されているのであります。要は、「消費者が選ぶ」ということに価値をおきすぎるのは、その消費者達の選好が低劣である可能性を大いに含む以上、よろしくないということです。
 これは別に、禁欲的な精神から言っているのではありません。消費者の選好が低劣だった場合、その低劣な選好に迎合して生産者も生産を行うことになる。そして価格が付き、価格そのものがその低劣なものに権威を与える。すると、社会全体のものとものにおける相対的な価値が狂ってくるのです。
 つまり、本来価値のあった公なものの価値が低く見積もられ、本来何の価値もないものの価値が高く見積もられる。これが大衆的に行われる現象が、「大衆消費社会」というものであります。
(※私が将来の消費税増税に大賛成なのは、この点を見てのことでもあります)


 もっとも、私とて「消費者の選好」のすべてを蔑ろにするわけではありません。
 しかし、消費者による選好を価値の源泉として考えるような経済の見方は、間違っています。
 そもそも、消費者の選好では、事業者による需要の見込みに確実感を与えるのに限界があります。つまり、増大する供給力を消化させる需要を創りだせない。


 ですから、ここは民間需要ではない、政府による公的な需要を考えるべきなのです。
 つまり、先ほど展開した、短期的で呼び水効果的な財政出動に留まらず、長期的に、恒常的に、政府の支出規模を増やして行くという方向です。
 言い方を変えれば、資源配分において、市場に頼っていた部分を、何割か政府の恣意的な決定に預け続けるということであります。

 たとえば、公共事業も、単にデフレの解消という期間限定のものではなく、毎年、恒常的に20兆、30兆の規模を確保する。土木や建築の公的な支出に伴い、我々の供給能力が、土建産業として消化されていくでしょう。その土建産業として消化された供給能力は、国土を整備し、交通をより張り巡らし、国民統合を促すという国家全体の益としての需要を満たすはずです。

 あるいは軍事産業にしてもそうです。高い軍事費を恒常的に政府支出として計上すれば、我々の生産能力を軍事産業として消化させ、国家全体の益としての需要を満たす。

 さらに、国会議員の定数や公務員を増やし、彼らの給与を上げるという策も必要でしょう。
 これは性質的に、短期的な財政出動として考えることは不可能でした。しかし、恒常的な政府支出の増大として考えるならば全く問題はないはずです。
 議員や公務員の増大と潤沢な給与による人材の確保という形で、より我々の人的資源を投入できれば、強靭な政府を形づくることができる。
 また、公共事業、軍事費、社会保障にいたるまで政府支出を拡大していくのであれば、これを捌く政府そのものも大きくしなければならないのは当然のことです。



 対して、我々の増大した供給能力を「輸出によって消化すべき」というヴィジョンを抱いている者が多い気がしますが、そういう考えは決定的な間違いを犯している。というのも、輸出とは、輸入をするために行うものであり、長期的な生産能力の過剰を消化する為には最低限度、軍事力を背景にした国際政治力が必要になるからです。また、もし日本にそうした軍事力があったとしても、過度な輸出、輸入の摩擦は、経済を安定づけることはできないはずです。



 以上のことから、我々の増大した供給能力を消化する新たな需要は、おおむね「大きな政府」として方向づけられるべきなのだと、私は考えるのです。



(了)


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Category: 経済:思想、政府の役割

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Janre: 政治・経済

tb 0 : cm 1   

コメント

>消費者の選好が低劣だった場合、その低劣な選好に迎合して生産者も生産を行うことになる。そして価格が付き、価格そのものがその低劣なものに権威を与える。すると、社会全体のものとものにおける相対的な価値が狂ってくるのです。

「悪貨は良貨を駆逐する」というやつですか。
まあ「消費者の選好」ばかりに振り回されることなく「質の高いものを世の中に広めよう」という使命感を持っている企業もあるにはあるのだろうと思いますが、そういう企業がちゃんと利益を上げるには多少「運」に左右される部分もあるのかもしれません。

ふと思ったのですが「おニャン子クラブ」が出てきたあたりから日本のポップス業界では、何と言うか「ジャンクフード的なもの」が大ヒットしてしまうという風潮が出てきたような気がします。それ以前の日本のポップス(いわゆるアイドル歌謡?)はもう少し中身があったような。(石川さん世代だとピンと来ないかもしれませんが)
仕掛け人は同じでも「AKB」は、少なくとも歌に関しては(上手い下手でなく、メッセージの部分に関して)「おニャン子」よりはまだマシに思えます。(売り方には疑問を覚える部分はありますが)

「国会議員の定数増加」には大いに賛成です。既に「人数が足りなくて議員さんは複数の委員会を掛け持ちしている」状態なのにこれ以上減らしてどうするのやら。
まあ、実行するとなればマスコミが全力で阻止しようとする可能性大ですが。
公務員も、少なくともこれ以上は減らさない方が良いでしょうね。

kappa #NbShkeg2 | URL | 2015/08/05 17:32 [edit]

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