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日本が日本であるために

時事、ニュース、政治、経済、国家論について書きます。「日本が日本である」ということを政治、経済の最上位目的と前提します。

 

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ヤマトとAmazon問題から考える価格決定観 


 昨今、「Amazonや楽天などのeコマースによって、ヤマトを初めとした宅配事業が圧迫されている問題」が、かなり大きく叫ばれてきていました。

 eコマースの持ってくる仕事が増えると、宅配事業者からすれば「単価の低い小さな荷物をたくさんの家へ送り届ける」ことになってしまうので、現場の宅配員の仕事量は多くなるが、事業収益も圧迫することになるわけです。



 そんな状況であるから、ヤマトは再び宅配料の値上げを発表したりAmazonと宅配料の交渉などを始めました。

 こうした動きは、世論でもおおむね「宅配サービスの適正価格」という単語で肯定的に受け入れられてはいるようです。
 私も、このことそのものに関しては大賛成……というより「当然のこと」だと思う。

 ただ、これを肯定的に捉えているらしい世論の「動機」の方には、少し気になる点があるのです。
 それは、その肯定も多くの場合は、「サービス価格の適正化」に関心があるというよりは、「ITイノベーティヴな未来観を象徴するeコマース」を否定的に捉えたくないという動機から起こっているように見えるところです。
 つまり、eコマースによる宅配事業の圧迫はあんまり赤裸々だから、ここでそのサービス価格の適正化にコミットしておかなければ「ITイノベーティヴな未来観を象徴するeコマース」 の正当性を担保できないと無自覚ながら狡猾に察知しているだけのように見えるということ。

 というわけで、ここで重要になってくるのは、この「eコマースによる宅配価格の圧迫の問題」は、これをもうひとつ掘り下げて考えて、その「ITイノベーティヴな未来観」そのものがチープで子供っぽくて成立しないガラクタの未来観だということを理解することです。

 そのために、ここでは「価格決定」ということについて焦点を当ててみましょう。

 ◇

 そもそも、ヤマトは値上げに先んじて、社員、サービスドライバーに対しサービス残業などの実態を調査した上で未払い残業代を払うという決定をしています。

 つまり、事業を健全に運営するための「人件費」と「労働環境の是正」と「企業収益」のために値上げをする……と、そういう筋なのです。

 この経緯を含めて考えれば、この場合の「適正価格」とは、労働価格から事業の成り立つコストが先に立ち、コストに一定の利益分を上乗せした価格を後から消費者に承認させる……という経路で成されるということになります。

 こうした価格決定観はいわゆる経営学の「コストプラス方式」と呼ばれる価格決定の論理です。

 そして、コストプラス方式という価格決定観は、経済学の「市場原理主義」からは何事か離れる価格観でもあります。

 そもそも市場原理では「需要と供給の均衡によって価格が決まる」とされており、なおかつそこには「市場均衡価格が適正価格である」という価値観も多分に含まれています。

 つまり、価格に対する政治的恣意のない(プライステイカーな)自由市場において、消費者の選好で価格が決定し、その価格によって売上が決まり、コストが配分されていく……という経路で成されるとされるのが市場原理主義の価格決定観なのです。

 これはコストプラス方式とは真逆でしょう?

 すなわち、

A『コストプラス方式の価格決定観』

1「供給者側が価格を決める」
2「消費者がこれを承認する」

B『市場原理主義の価格決定観』

1「消費者一人一人の選好と供給量の均衡で価格が決まる」
2「先に均衡価格があって、生産者側はそれを人件費、コスト、収益といったふうに分配する」

 こういうわけです。

 その上で、「通信販売の宅配価格が、到底適正価格ではない」という赤裸々な事実が突きつけられ、コストプラス方式が一定程度世論で認められているということは、どういうことなのか。

 それはイコール、価格について以下の三つのことを認めるということになりますでしょう。


1、「自由市場における市場価格は、必ずしも適正価格とは限らない」

2、「価格が消費者の選好によってのみ決定されるべきだと構えると、価格は過度に抑制され、労働価格も抑制される可能性(=過剰サービスの可能性)がある」

3、「価格を消費者に承認させるために、産業側が政治力(談合やカルテル)を発揮すべき局面もありうる」
(※例えば、ヤマトが値上げしてもより体力のある日本郵便が値下げしてシェア獲得に走れば、適正価格は実現されないんですからね!)


 さて、そうなるとですよ。

 そもそもeコマースというもののSF的未来観は、その基礎に「市場原理による価格決定の徹底」があったわけでしょう。

 だって、「小売、中間業者を省き、生産者側から価格決定権を剥奪する」という日米構造協議から始まった平成の物流の合理化を、もっとも体現しているのはeコマースでしょ。
 ダイレクトにメーカーと消費者が繋がることができ、「レビューやらなんやらの情報で不完全情報社会の乖離を埋めることができる」とかなんとかみんな言っていたものです。

 でも、宅配価格でコストプラス方式の価格決定観を認めねばならぬなら、eコマースで売買される製品も「過剰な低価格」で売買されている可能性のあることを認めねばならないはずじゃないですか!

 この製品価格の過剰な低価格の実現は、全体としてなにを削ることでされてきたかと言えば、かつての「卸し」や「小規模店舗」という共同体的なラインを削ることでされてきたのであり、また、そこを繋げていた小規模運送業者を削り、「暗黒大陸」を解消する「ロジスティック」な物流などといって実現されてきたのです。
(これはイオンなどの巨大ショッピングモールの問題と同じであるから、別にeコマースに限定した問題ではないけれど)

 こうやって言うと、もしかすると、
「中間業者が省かれて価格が下がるならいいじゃん」
 と思われる人もあるかもしれないが、それはつまり中間業者として成り立っていたお金の流れがなくなり、共同体的な消費形式による消費動向の一貫性がなくなるということでもあります。

 製品価格の抑制によって、中間業者として成り立っていたお金の流れがなくなるということは、経済全体で見れば需要的な経済(パイ)の縮小要因でしょ。

 さらに言えば、物流としてはその最終形態として「宅配」に集約されているわけで、「物流を宅配に頼りすぎていること自体」が物流全体における過剰サービスの助長であるということも留意しておくべきでしょう。
(別に「過剰サービスで可哀想」と言っているのではなくて、過剰サービスということはイコール価格の抑制だから、経済全体のパイを減らす要因だろうということ)

 また、消費をよりバラバラに大衆的にするということは、生産者として「消費者が需要するものの予測」ができなくなるということであり、ほとんど運任せの企画で製品を市場へ問わなければならなくなるので、そりゃあ企業も「それくらいだったら現金を持っていた方がマシ」だと考えます。
 すなわち「消費のさらなる大衆化」は「何に需要があるか」をさらに読めなくさせ、「民間投資が減る」ことを助長するから、これも経済全体を見れば縮小要因でしょう。


 すると、もはやeコマースというコンセプトそのものが、過度に大衆消費者サイドの形式であり、全体を成り立たせなくさせるものなのではないかと疑われれ然るべきなのではないでしょうか。

 というか、それを宅配価格に「だけ」限定して、「eコマースで取り引きされる製品の価格も不適正に低く抑制されているのではないか」について考えを及ばさないでおれるのは、ちょっと都合良すぎです。

 別にeコマースみたいなのもちょっとくらいあったってイイけど、これを大々的に押し進めて大衆消費者目線の便益を高めても、全体としては価格の下げ要因として経済を縮小させることにしかならないし、ましてや「成長の伸びしろとか未来の展望」にはなろうはずがないのです。


 ◇


 さて、これからも物流やeコマースについてはさらに突っ込んでやっていこうと思います。

 これを詳らかにするには、日米構造協議から起こった「大店法改正」とそれに付随した中間業者を省く「ロジスティックな物流」とやらの方針が、「まるで大間違いだった」というところまで遡らなければならないでしょう。
 でもそれはそれで気合いが必要なのでまた今度。
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