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憲法96条改正という考えを否定する 

 先日の参議院議員選挙で、注目点となった一つに、「96条の改憲に賛成する勢力が三分の二を越えるか」というものがありましたね。
 96条の改正とは、いわゆる『改正条項』です。つまり、「衆参両院での三分の二の賛成を経て、国民投票へ」という改正の手順を「衆参の過半数の賛成を経て、国民投票へ」という風に緩和しよう、という議論です。

 そして、この96条の改正は、9条二項の改正への道筋と、セットとして意識されているものです。誰も口には出しませんが、誰もがそう思っていることですね。

 つまり、「9条の二項の改正に賛成する者を三分の二集める」ことより、「96条改正に賛成する者を三分の二集める」事の方がハードルが低いという事に考えを及ぼした道筋なわけです。96条を変えた後ならば、9条二項の改正も過半数で成し得る事ができますから。


 確かに……これだけ聞くと、「結構なことだ、これしかない!」と思われるかもしれませんね。


 しかし、ここでよく考えてもらいたいのですが、憲法とは、「9条か、9条を止めるか」だけのものだったのでしょうか。
 そんなはずはありませんね。

 例えば考えてもみてください。仮に、四年前、すでに96条が改正されていたとしたらどうなっていたでしょうか。
 もう忘れてしまったのかもしれませんが、四年前、民主主義による公正な選挙の結果、衆参の過半数を占めることになったのは、『民主党』という政党でしたね。
 民主党政権の以前に、すでに96条が改正されていたら……などということは、想像するだに恐ろしい事ではありませんか。

 もし、「実際は、もう民主党政権は終わったし、国民は同じ過ちを繰り返すほどバカじゃない」などと考えているのなら、民主主義に対してあまりに楽観的すぎます。
 実を言うと「国民が民主主義で出す結論は、同じ過ちを繰り返す程度にはバカ」なのです。

 その証拠に、民主党政権樹立の前に、非自民連立政権以後の右往左往がありましたね。そこから民主党政権樹立まで、どのくらいの時間が空いていたでしょうか。二十年もたっていないのですよ。
 つまり、二十年ほどたつと、世の大多数はその時の事を忘れてしまう程度にはバカなんですね。

 ただ、今回は、「民主主義そのものに対してどうのように制限をかけるべきか」という自論は展開しません。長くなるし、脱線してしまうからです。
 ここでは、「せめて、民主主義はしょっちゅう最悪な結論を導くものだ……という事実くらいは認めた上での民主主義でなければならない」とだけ理解していただけたらと思います。


 同じく、「いくら政治が乱れても、最終的には国民投票があるから、酷い改正案なら国民がノーと言えば良いだけだ」というのも、民主主義に対してあまりに無批判な態度です。

 そりゃあ、たとえば「日本は日本人だけのものではない」とかいうような条文が示されたらなら、誰だってノーにしますよ。
 しかし、厄介なのは「一見、美しく見えて、実は危険」というようなモノですよね。9条がまさにそうでしょう?

 例えば、みんなの党だとか、維新とかが述べている『首相公選制』とか『一院制』とか、そういった種類の話なら、いかにも国民投票で過半数を得そうではありませんか。
 首相公選制や一院制は、少なくとも9条と同じくらいはガキで低劣で迷惑で厄介な話だと思いますよ?

 9条を止めたいという人は、少なくとも「憲法にヘンテコな条文のあることが、どれだけ厄介か」という事を十分承知人のはずです。
 9条を止めたいという気持ちはよく分かりますが、その辺り焦らず冷静になってもらいたいものです。



 ただ、先日の参議院議員選挙の結果を見るに、安倍内閣での96条改正は現実的には無いと考えて良いでしょう。
 自民、公明、みんな、維新と、合わせれば参院でも三分の二だとはいうけれど、現実的ではありません。

 そして、これで良かったのだと、俺は思います。

 しかし、それでは「黙ってこの憲法を受け入れれば良いのか」といえば、それは違います。
 ただ、憲法の問題はただ単に9条が云々という話だけではなく、非常に多重層的で、様々なモノが絡まって存在しているのですから、「国民の手によって、変えやすくすれば良い」という単純なものであるはずはないのです。

 憲法については、また重ねて論じて行きたいと思います。



(了)



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コメント

96条

ども。

首相公選制は、我が国は、天皇陛下を戴く立憲君主制であること、直接首相を選ぶのは民主主義を暴走させる、以上の二点で反対。

一院制も民主主義を暴走させるという意味で反対。更に言えば、一定の高額納税者にする、一定の叙勲を受けた方、地方議員が選んだ者等、庶民の代表である衆議院と違うようにすべきと考えます。

本題の96条に関して言えば、3年後の衆参同時選挙の結果をみないと分かりませんが、状況論として、今の尖閣諸島、竹島、北方領土、拉致問題、エネルギー輸送経路等が現状より厳しくなるようであれば、96条先行も止むを得ないと思います。
ただ、天皇条項は例外として欲しいですね。

あと、ついでに皇室典範も憲法と同格、旧皇族にも復帰していただけるよう条文改正して…

あと以下は願望ですけどね^^;

基本は、改正が難しい憲法で良いと思います。
しかし、元々の憲法の法理論が大陸法ですし…このまま固定するのもちょっと考えものですし、状況が許さないかもしれません。


ただのぶ #- | URL | 2013/08/02 20:24 [edit]

Re: 96条

ただのぶ様、いつも有意義なコメントをありがとうございます。

 首相公選制や一院制に対する否定的なお考え、衆院に対しての参院のあり方についてのお考え、まったく同意見です。

 また、俺も、96条の改正が現実の問題として、技術的、実際的に必要であると安倍内閣が判断するのであれば、重ねて反対しようとは思いません。
 ただ、モノの考え方として、喜ばしいモノではないという事は、意識しておく必要があるだろうという風に思うだけなのです。

 また、安倍内閣は、本当に96条の改正に本気なのかは、ちょっと分からないんじゃないかな、と考えています。
 次回、麻生大臣の発言に絡めて少し触れようと思っていますが、96条はフェイクで、内閣法制局の解釈による9条の完全無効化の方に、本格的に乗り出すつもりなんじゃないかなあ、と思うのです。集団的自衛権だけではなく、軍事費の制限とか、先制攻撃とかも併せて。
 これは推測ですけれどね。


 皇室典範の問題と旧皇族復帰は、是非安倍内閣のうちに着手してもらいたいです。
 過去のGHQの(悪意に満ちた)裁定に逆らうのは甚だ骨が折れるでしょうが、血統の問題が切迫していますし、手遅れにならないうちに旧皇族の血統を活かす事を考えるべきだと思います。


 憲法の話に戻ると、96条の改正にまとわりつく思想として、「国民が主権者なのだから、国民が変えたいと思えば変えてよいのだ」という傲慢な態度があるように思うのです。

 正直、「96条を変えて憲法を変えやすくする」という技術論自体については、別にそこまで反対ではありません。
 ただ、「国民が主権者なのだから、今を生きる国民の多数が変えたいように変えて良いはずだ」という、現在世論を支配しているような、大衆迎合的なロジックの上で96条が緩和されたとすれば、そこに「国家の歴史的な伝統、文化、慣習、価値」が反映されていく望みは極めて低いと考えます。

 96条を緩和しても良いのですが、それは、「今を生きる国民にそういった権利があるから」ではなく、「今を生きる国民は、過去の国民から受け継いだモノを、憲法に銘じる義務がある」とする態度で、少なくとも執り行われるべきものなのだろうと、思います。

おーじ #- | URL | 2013/08/05 11:10 [edit]

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